会社を勝たせるってなんなのか
そもそも仕事で勝敗をつける必要などなくって「勝ち」「負け」という表現が適切ではないという議論があることは承知しているし、私自身も仕事で勝敗無いよなと思っている勢ではあります。
が、ここではあえて「会社を勝たせる」という表現をしたいと思います。
「勝ち」
「勝ち」を「価値」と置き換えるほど野暮ではないので純粋に「勝敗」で定義したい。
「負け」はおそらく廃業なんでしょうね。なんとなく。
だとすると存続している限り「勝ち」って事になっちゃいそう。存続してるだけで「勝ち」とは思えないので「利益を上げる」とか「規模を拡大する」とか、要するに順調に企業活動を行い「成長する」ということが「勝ち」なのかなと思います。
ただ、他者との相対的な関係性だとは思っていないのでそのあたりはきちんと書いておきたい。
何かと比較して勝ってるとか劣ってるとか重要だと考えてないんです。
「基準・指標」に変動するものをあてがってしまうと、対象がなんら変化していなくとも基準が変わるとあたかも対象が変化したかのように見えてしまい、「対象を変化させることに及ぼした作用」について全くわからなくなってしまうんです。作用の大きさが0だとしても基準が動けば何かしらの作用が生じたと勘違いしかねないっていうことです。
だからこそ基準は絶対値であったほうが良いんです。例えば「100M走であいつより速く走ろう」ではなくて「100M13秒切ろう」のほうが良い。
前者のほうが人間味ありますけど自分の評価を他者に委ねると努力しない理由を作れてしまったり、時には基準との差が開く一方という辛い局面も生じるでしょうね。
会社を勝たせる
「会社の勝ち」を「会社の成長」とふわっと定義しましたが、「会社を勝たせる」という表現を見てどう感じます?「会社を成長させる」のは従業員の仕事じゃないだろって思う方多いですかね。
もしそう思うのであればいささか考慮が足りないのではないでしょうかね。
会社員の給料の流れとか原資を理解してもらいたいです。なにげに見て見ぬ振りをしている人が多そうですけど、本気で見てない人もいそうです。
給料の原資ってどこにあると思います?あなたの給料が20万円だとすると、会社はどうやって給料を払っているのだと思いますか?
そもそもの構造として、「20万円払うから20万円分働いてくださいね」なのか、「働いた成果が20万円分なので20万円支払うね」なのか、どっちだと思います?
スタート地点は「20万円払うから20万円分働いてくださいね」です。あなたの働きが20万円に相当するか否かはまずは争点になりますが一旦棚上げします。
で、「20万円払うから20万円分働いてくださいね」で20万円分働いてる人は、なにがどうなったら給与アップするんでしょうかね。
20万円分しか働けないのなら20万円です。異論ないですよね?
かといって、30万円分働けるか否か経営サイドにはわかんないんですよね。30万円分働けなかったら翌月からもとの給料に戻して大丈夫ですか?
このへん法的にはまぁ難しいんですよ。
30万円給料欲しかったら30万円分働けることを示してもらわないといけないです。
給料を払うための原資ってどこから出てるんだと思います?会社の売上からですよね?売上がないと給料払えないんですよ。(原則)
前向きが長くなりましたが、会社が成長しないと給料増えないです。会社が成長するっていうことは売上が上がることなので給料が増える可能性は高まります。(ここでは単純化しましたが実際にはより複雑なので売上が上がっても赤字ということはままあって、そういうケースでは給料を増やすのは難しかったりしますね)
つまり「会社を勝たせる」ようにあなたが頑張ると(成果を出すと)給料が増えるんです。会社を勝たせるように動くことは会社に奉仕しろっていうことではなくてあなたの給料を増やすための手段なんですよっていうことです。
(それでも給料が増えなかったらなにか理由があるんだと思います。)
転職当たり前の世界で
会社を勝たせるには相応の能力が必要だと思うんですよ。もちろん、能力を定義しないといけないんですけど。
一旦、イメージだけで想像してみてください。「会社を勝たせることのできる能力を有する人」ってどんな人かなーって。
「経験者の転職者」って誰しもが頭に浮かぶのだと思います。
間違ってないんでしょうねーきっと。
でもね。転職する理由てまちまちなんですけど、「給料を上げたい」からっていうのが一番多い理由なんですね。となると「会社を儲けさせよう」っていうモチベーションはそもそも持ち合わせてない可能性が高いっていうことなのよね。
さて困った。会社を大きくするための算段として従業員の成長を見込むことが難しいっていうことか。。
とはいえ。人を増やせば売上が上がるほど甘い世界ではなくて。個々のパフォーマンスを上げることと、人が増えることで効率を上げてパイも増やすという戦略を取る必要がある。
従業員の成長は見越さないといけないのよ。スキルの低い人がよってたかってやっても高度なものは作れない。より高度なことをやってそれに見合う単価をいただく。そうやって仕事の質も報酬も引き上げていきたいしそれが健全、至極まっとうだと思う。仕事の質が上がったり量が増えれば給料増えるのよ。
だから従業員には自身の成長を目指してほしいの。自分の給料のためにもね。
あなたの成長のその先にこそ「給与アップ」と「出世」があるんですよ。
昨今、出世したくない若者が8割もいるという話もあるくらいですが、出世しないと給料増えないんですよねー。そもそも出世したくないとかいう発想がよくわかんない。出世するしないの決定権はあなたではなく会社にあります。仕事ができない、社内の人間関係を壊すような人を出世させる会社はないです。出世できる人は仕事ができる人です。仕事ができるんだから給料上がるんです。
転職で給料増やせると思うかもしれないけど、仕事ができない人に前職より多くの給料を払う会社ってそうそうないです。転職で給与が上がってもそれはあなたのスキルが上がったからなのではなくて売上が大きな会社の庇護に入ったというだけの話です。スキルアップをないがしろにして転職を繰り返しているとどこかで困りそうだけど大丈夫ですか?
だからこそ(というかもともとそうなんだと思ってるんだけど)、仕事ができるひとになって出世して給料増やそうって思える環境を作らなければいけない。
そういった環境をつくることが「勝たせたい会社になる」ということだと考えています。
仕事ができるようになったら給料が増える環境を作る
「出世して給料を稼げるようになる環境」ってなんか言葉にするとすっごくチープに見えるのね。。
アタリマエのことだし。
そして環境っていうのは会社が整えるものであって、多くの場合従業員がどうにかできることではないです。出世してそれなりのポジションに着いていればできるかもしれないけど。
だけどね、会社の仕組みを整えるところに関与することができなくても「出世して給料を稼げるようになる環境」って作れると思うんですよね。
まずは出世するためには「仕事ができる」ようにならないとだめ。この「仕事ができる」は独りよがりじゃだめですからね?「会社が評価できる仕事をする」事が重要。あなたが思ってる「仕事ができる」は会社にとっては前提条件かもしれないので。「会社が何を求めているのか」理解して実践しましょう。
「会社が思う仕事ができる人」になったら給料上がるんです普通は。その繰り返しで給料を上げつつ、仕事の範囲を広げたり掘っていくことで更に給料は上がって出世するんですよね。
この過程でしっかり会社の意図した「仕事」をこなせていくと会社の競争力が上がるんです。会社の競争力が上がって単価が上がるとか案件数が増えるとかすると売り上げが増えるので給料を支払うための原資が増えます。
そのための絶対条件は「会社の競争力を上げる」ことです。目先の売上を上げても会社の評判が落ちたらそれほど遠くない未来に売り上げは落ちるので、売上を上げるではなく競争力を高めるという表現をします。
あなたのスキルアップとか成長(とあなたが思っているもの)は会社への貢献「競争力アップ≒売上」がない限り会社での評価にはならないんですよ。分かってると思うけど、会社に貢献しないとダメ。
会社としてはそういった「貢献」を適切に評価して給与に反映することが必要なんですね。この「適切」を従業員に正しく理解してもらうこともなかなか難しいことではあるのだけど、会社としてどうしようと考えているのかを「まずは」表明することが必要なのだよなと思ってます(表明してる)。
新卒や未経験からの入社で1-3年目、中堅どころの5年目、ベテラン入りの10年目、期待する成果の水準も心構えも違います。それぞれに応じたゴールを作り達成感を醸成することが必要ではあるのだけど個々に細分化した基準づくりは難しいんですね。同一基準にしてしまうとベテランにはぬるく、見習いには厳しいものになってしまいます。
同じ基準で評価するけど評価対象の数が違うってのはありかもねと思ってます。ベテランはいっぱい、見習いはひとつみたいな。
脱線しました。
平たく言うと「頑張って成果を出した人は正当に評価する」ということを事実として示していくことでしか従業員には伝えられないと思っています。
「頑張って成果出たからこれだけベースアップしますね。」「成果が出たものもでなかったものも同じくらいあったから昇給はこれくらいね」って。
- 成果を上げることでしか給料は増えないことをちゃんと理解してもらう。
- 成果を上げれば給料を増やすことを約束する。
- 成果を上げたときには給料増えたという事実を示し続ける。
こんなふうにして「勝たせたい会社」になりたいと思っています。
Memo
「評価」されるには「仕事ができる」ようになれば良くて、仕事ができるようになれば「出世」できる。
というのは真理のはずなんだけどなかなかそうじゃない会社も多いのかもしれない。
さらにはSNS等でそんな会社ばっかりだみたいな投稿を見ることが多いのかもしれない。
そのせいか「仕事したって評価されない」っていう間違った思いが蔓延っているのかもしれない。
まぁ頑張ったからといって評価されるわけではないのだけれど、頑張れば成果が出ると思うんですよ。「頑張る」の定義も必要だけれど。
あと、大事なことなので一応言及しておくと、この記事で書いた事柄はすべての人に均等に当てはまるものではないです。会社を勝たせたくて入社してくる人はいるだろうし、そういう人を採用しているつもりではいます。
言ってみればわたしのお気持ち表明でしかないのかもしれないし、生ぬるい組織形成だなと思うかもしれない。
それでもやっぱり「会社を勝たせたい」といってくれる人を増やしたい。