モノの見方、どこからなにを見るのか
「視野を広く持て」とか「視点を変えてみる」とか聞いたり言ったりしてませんか?どういうことなのかきちんと考えてみましょうか。
間違って使ってるかもしれないからね!
視界
し‐かい【視界】 の解説<b>
1 目で見通すことのできる範囲。視野。「濃霧で視界がきかない」
2 考えや知識の範囲。「将来を視界に入れた発言」
出典:デジタル大辞泉
見える「範囲」のことを指しているけれど、「視野」とは少し違うので「視野」については後述。
固定でただ一方のみを見続けているときのそれは「視界」ではなく「視野」という理解です。
つまり360度見渡した世界が「視界」です。あなたが見ることのできる景色のこと。ここで強調すべきは「見ることのできる」とは可能性を示しているだけであって「あなたが見ている景色」のことではないということです。
会社で言えば、あなたが意識すれば見ることのできる範囲のことです。ただし、後述しますがこの見える範囲は人それぞれ、そのポジションと意識によってだいぶ差が生まれます。
視点
し‐てん【視点】 の解説
1 視線の注がれるところ。
2 物事を見たり考えたりする立場。観点。「視点を変えて考える」「相手の視点に立つ」
3 透視図法で、画像と直角に交わる仮定の一点。対象を眺める位置。
出典:デジタル大辞泉
「視点」とはまさに見ているポイントのことですね。可能性の話ではなく、実際に対峙している事象そのものです。
字面からイメージしやすいと思います。
通常、事象に近くないと見えません。遠く離れれば離れるほど小さくなって細かなところが見えなくなります。
遠くのものに視点を合わせてもあまり良く見えないので一番良く見えるのは一番近くで見ている人になると思います。
あなたの担当している仕事であればあなたが一番良く理解できるはずです。
ときには「視点を変える」ことで同じ仕事に対して違った見方ができるようになります。
多面的に見るとか異なる立場で考えるとか、そういったことです。
視野
し‐や【視野】 の解説
1 外界の一点を凝視するとき、その点を中心として見える範囲。視力の及ぶ範囲。「視野が開ける」「視野を遮る」
2 顕微鏡・望遠鏡・写真機などの、レンズで見ることのできる範囲。
3 物事を考えたり判断したりする範囲。「視野の狭い人」「国際的な視野に立つ」
出典:デジタル大辞泉
冒頭の「視界」とは少し違っていて、あなたが見ている方向とその範囲のことです。
当然視線が向いていない方向は見えませんし、見える範囲も近いもののほうが良く見えます。
視野を広く持つことはより多くのものを見ることができることを意味します。業務で言えば、自分の担当することの少し外を見ることができると他者との連携がスムーズになりそうです。
視野を広げる秘訣は周りに興味を持つことだと思っています。仕組み化もできるのでしょうけど自発的な興味のほうが強い意識付けになりますよね。やりたいことは止められてもやるものですし。
視座
し‐ざ【視座】 の解説
物事を見る姿勢や立場。「人道主義的な視座で発言する」
出典:デジタル大辞泉
「視界」「視点」「視野」っていうのは割と耳にしてきたと思うんです。耳にしてこなかったとしても理解しやすくないですか?
「視座」はちょっと馴染みが薄いかなと思います。
「視座」とは分かりやすく表現すると「高さの座標」のことです。「視界」「視点」「視野」を平面として見たときの座標。
座標が高くなると上から見下ろすことになるので「視界」が広がります。見える範囲が広がるのでより遠くまで見渡すことができるようになります。
ところが、ある一点を見ようとしてもその「視点」からは座標の分遠くなっています。目の前で見ている人より良く見えないです。
「視野」はあまり変わらないですね。視座が高くなっても見ている方向しか見えません。少し遠くまでは見えるようになりますが。
それぞれのポジションによって見え方は異なる
「ポジション」とは立場のことです。担当者とかリーダーとか社長とか。
担当者にいちばん重要なのは「視点」でしょうね。正しく理解するために「視点」を変えることは有効です。時折その関係性の確認のために視野を広げることも必要になると思います。
リーダーは「視野」が重要になると思います。担当プロジェクト全体を見渡さなければいけません。リーダーの視野にプロジェクトメンバーが入っていることが鍵です。この視野は担当者のそれより広くなると思います。メンバーの分だけ広がっているのではないでしょうか。
そして「視座」は少しだけ高くなっているので「視界」が少し広くなっています。
経営者はどの従業員より「視座」が高く、それ故に「視界」が広いです。なんのためかと言うと会社の進む先を見据え正しく舵を切るためです。
より広く遠くまで見ているため、担当者の実務は(そのままでは)経営者には良く見えないんです。ちょっと離れすぎてる。
もちろん近付けば見えるんですよ。
でも全従業員のすべての業務を深く把握することはできないんです。物理的に。(やってもいいけどそれをすると会社は強くなれません)
Memo
「視界」は広いほうが良いです。広くなると見えなくなるところも増えそうですけどね。複眼で見れれば良いんですけど。
「視点」は意識して色んな所を色んな所から見るようにすると良いことあります。
「視野」は広いほうが良いです。が集中して見る「視点」がなければ単なる傍観になるかもしれません。
「視座」は高ければ良いというものでもありません。あなたのポジションにふさわしい視座があります。
新入社員の視座は一番低く、視野も狭い。視点も少ない。
リーダーは少し視座を高くして、多少の障害物があってもその先をなんとか見えるくらいにしてほしいです。そうしないとメンバーのフォローができないです。世の中障害物だらけなので。
経営者はその辺の障害物よりも高いところから見ないと困っているメンバーに気づけませんし、その先にある道標とか障害物にも同様に気づけなくなります。ただし、メンバーが直面している仕事そのものはちょっと遠くて良く見えないんです。
全体は見えないけど直面していることはよく見える人、全体を見ることができるけど個別の事象は良く見えない人。補完しあって組織になっていくんですよね。
補完するっていうのは周りに興味を持つことにほかならないんですよ。「人に興味を持つということ」
もうひとつ、「なぜするのか」と常に疑問に思って考えを巡らせてください。その答えがわからないときは着手してはダメな気さえしています。