料金相場って難しいですよね
Webサイト制作費用の相場ってあるようでないようでよくわかんないですよね。
建築の世界のように積算基準などがまとめられているわけではないのでなおさらです。
制作会社によって見積り額が違うのはなぜ?
そもそも会社ごとに同じ見積もりになるわけがないんです。青果とか水産物のように仲卸が「セリ」で仕入れたものを販売業者が仕入れ販売しているわけではないので。
受託開発、受託制作においては一般的には「人月」という考え方に基づいて費用見積りが行われています。
人月とはこんなものです。
人月(にんげつ、マンマンス、man-month)とは、1人が1か月で行うことのできる作業量(工数)を表す単位。同様の単位に人日(にんにち)や人時(にんじ)や人週(にんしゅう)がある。人日は、多少俗語的に人工(にんく)ともいう。
土木・建築の現場などの事業(プロジェクト)の作業工数見積もりなどに用いる。ソフトウェア業界も、土木・建築業界に習い、事業管理(project management)を行っているため、同じ用語を使う。
出典:Wiki
1.人月単価が違う
そもそも基準とする「人月単価(1人が1ヶ月で行う作業量の単価)」が異なれば当然のように見積額は変わってきますね。
2.月間稼働日数が違う
月間の稼働日数が異なれば、人月単価が同じでも1日あたりの単価が変わってきます。結果見積額も変わってきますね。
3.人員の想定スキルが違う
見積もり時に想定しているのがベテランエンジニアであった場合と初級エンジニアを想定している場合では開発能力に差があるので同じ見積りにはなりません。
4.開発体制が違う
すべて内製で作る会社と外注で作る会社では当然のように見積額に差が出ます。外注主体の会社の方が高額になるケースが多くなりますが外注先の制作費用に依存します。
開発に関わる人員数の違いもここに該当しますね。1人で対応するフリーランスと5人体制のチームで対応する制作会社で同じはずがありません。
5.作るものが違う
マニュアルとかドキュメントの類を作るか作らないかでかかる時間に大きな差が生まれます。
ロゴマークひとつとっても「レギュレーション作成」「商標登録の有無」で工数は大きく変わるんです。
格安制作会社
弊社から見ても「尋常じゃなく安い」制作費を掲げている会社さん多いです。
安く作れる理由はたいてい下記のような事柄であることがほとんどだと思われます。
A.テンプレートによる制作
ある程度のパターンのテンプレートを用意してあったり、市販テンプレートを購入することで制作時間を削減し低価格での制作行っているケースです。
細かな顧客要望に応えることができるのか疑問です。
B.CMSを導入するだけ
WordPressなどを採用し、テンプレートを購入して適用するだけといった構築も安く作るためのエコシステムになっている様相です。
制作会社が作らなくてもクライアント企業でも自社対応できそうなレベルですね。
C.激安外注先を使う制作
そもそも自社で制作せずに外注で制作をするとある条件下においては「格安」で制作できます。ある条件とは「激安な外注先を使う」ということです。これもまた至極当然のことで単純な足し算引き算ですね。
格安制作会社の開発体制(安く作れる理由)はだいたいこういった感じになっているようです。
成果物の種類
成果物の種類にはいくつかありますがサイト制作の場合、納品する成果物はWebサイトだけにとどまらないケースが多々あります。
サイトロゴの制作をしていればロゴマークのレギュレーション、クライアントが初めて使うシステムであればそのマニュアル、契約内容によってはサイト内で使用しているイラストの元データetc
言うまでもないことですが成果物が多ければ多いほど高額になります。
考慮の範囲
たとえば今後、多言語対応する予定があるとか、POSと連携する予定があるとか、この手の想定をどこまでしておくかによって近い将来の費用のかかり方が大きく変わってくる可能性があります。
将来を見通した設計をしたので今回はすこし費用が加算だけれども、近い将来大きな費用削減が可能とかも大いに有り得るお話です。
成果物の種類がサーバーにアップロードするファイル群だけの場合と、各種ドキュメントやレギュレーションなども揃っている場合では当然費用に差が出ます。
コンサルティング
「コンサルティング」というととたんに胡散臭さが倍増しますが、「サイトの成果を最大化させるためにはこうしたほうが良い」とか「MAツールはこういった物を選ぶといいかも」などっといったマーケティングに係る提案があったり、EC運用に伴うバックヤードの業務フローを最適にするためにECはこういったデータをこういうタイミングで出力すると良いとかいう仕様策定をする会社と、クライアント企業が「こうして」「ああして」と指示を出したとおりに制作をするだけの会社とでは同じ費用で制作ができるとは思えないですね。
もちろん、提案の有無という単純な話ではないのですが、Web制作とその関連知識に知見があれば「こうして」という指示が最適でなかった場合に「こうのほうが良いんじゃない?」という提案ができるはずです。知見を高めるのは単なる経験だけでは無理だと思っていて、相応の学習コストが必要に思われます。
そのため様々な提案をすることが可能な制作会社の方が提案内容が多岐に渡る分だけ費用が大きくなる傾向にあります。
Memo
例えば、あんどぷらすでは案件獲得や構成案策定・見積り作成などでPMが関わり、サイト構築にディレクター、デザイナー、フロントエンドエンジニア、プログラマのチームを構成し、リリース後などには広報がリリースを作ったりして関わります。
このくらいの人数が常にコミットしているわけではないにしろ、2ヶ月くらいの時間がかかる構築案件であればどの程度の費用が必要なのかはなんとなく想像していただけるかと思います。(300万円とかかかります。内容によりますけど。)
開発内容の難易度によってはもっとかかるのですが、別の見方をすると1サイト丸ごと作るのには実に多くの専門的な技術と知見が必要なのだということが分かっていただけるでしょうか。
結論。Webサイト制作の費用相場はやっぱり「ない」っていうことだと思います。
求めるクオリティや成果物の物量と費用は比例するということは不変に思われるので、相場を意識するのではなく、費用を最優先にするのではなく、制作会社がどんな提案をしてくれるのか判断するのが成功の条件のひとつだと思います。