職に就いて2、3年
一通り仕事に慣れてそつなくこなせるようになったと感じ始めるのってもしかしたら勘違いかもしれませんよ。
大事なことなのでもう一回言います。業歴2-3年で一通りしごとに慣れたと思ってもそれは勘違いです。
まぁ2-3年働けば慣れるでしょうね。仕事の作法には。
でもね、あなたのすべき仕事って簡単なんですか?すぐに慣れてしまってつまんなくなっちゃうくらいに。
きこりのファーストキャリア
私の最初のキャリアって口頭で話したことはありますけど文書として残したことなかったのでここで書いてみます。
大学時代名古屋に住んでたんですが、就職もそのまま名古屋でしました。バイクパーツ屋さんです。就職した直後はカスタム屋さんの色がより濃かった記憶があります。店頭で接客してパーツや用品を販売、カスタマイズの相談に乗ってパーツの適合を調べたりブレーキホースやオイルクーラーを作ったり。そんなことをしてました。
プライベートでもブレーキキャリパーやマスターシリンダーの分解清掃とかリペア、キャブレターの分解清掃とかセッティング出ししてサーキット走るとか。
どっぷりバイク漬けでした。
そのおかげか、商品知識は少しはあったんですよね。タイヤとかブレーキパッド、オイルなんていう消耗品は結構試しましたし。毎日高級パーツの現物に囲まれて仕事してるわけなので「仕事柄人より少し知ってる」だけなのに「なんでも知ってる」って勘違いするんですよねー。
ご多分に漏れず「一通りできるようになった」「仕事飽きてきた」なんて思っちゃったんですよね。
2年経たずして退職してしまいました。
バカだね。ほんとご迷惑おかけしたと反省しています。
ダニング=クルーガー効果
慣れてきた頃が危ないってのはよく言われると思うんですよ。多分建築とか工場とかで。
エンジニア界隈では昨今「ダニング=クルーガー効果」ってものがよく言及されてます。(界隈には限らないはずなんだけど他の業界知らないので。)
仕事をする経験が増えてくると「理解した」と思いはじめますよね。分かりますよその気持ち。いろんな関数覚えてSQLでデータを抽出できたり。
でもそれは自信過剰なんですよね。現実にはもっと経験が増えてくるとできないことがたくさんあることに気付き始め自信が低下するんです。
そこからさらに経験を重ねることでより理解が深まり自信につながっていくのです。
もうすこし知りたければこちら「ダニング=クルーガー効果」を。(認知バイアスに関する研究のお話です)
慣れるって?
そもそも「慣れる」ってなんでしょうかね。
辞書をひくと、「違和感がなくなる。」ということや、「習熟する。」ことを指していることが分かります。
「違和感がなくなった状態」と「習熟した状態」は同列ではなく、異なる状態なのに「慣れる」という同じ表現で表せてしまうところが日本語の難しところ。。
念の為書いておきますが、ここでは「慣れる」=「違和感がなくなった状態」として定義しています。
「慣れてきたなー」って思い始めると途端に飽きてきちゃいますよね。分かる。飽きっぽい人は特にそう感じやすいと思います。
でもね、それってまだまだ「習熟した状態」じゃないですよ。仮に「習熟した」のだとしても、2-3年で習熟した状態までいけるのならそれは小さな単位の業務なんだと思います。
あなたの仕事ってミニマム単位の小さなものの集合体のはずです。「あいさつ」するだけの仕事とかないでしょ?電話に出るだけの仕事もなければ、お客さんのお話を聞くだけの仕事もありませんね。
もう一歩踏み込む覚悟
ひとつひとつの小さな事柄に慣れてきたら、慣れてないことがないか確認してみてほしいです。2-3年の業歴なら確実に慣れてないことあるはずです。
そして「違和感がなくなった」だけなのか、「習熟」なのか、冷静に見つめ直してください。多くの場合「習熟」じゃないと思いますけどね。
今ひとつのことだけを見ているのなら、もうひとつ対象を増やしてみるとか、見る角度を変えてみるとかしてみてください。きっとこれまでと見え方が変わるので。
慣れてしまってつまらないのなら違うことをすれば良いんですよね。
なかなかめんどくさいんだと思いますけど。
単純にやること増えるかもしれないし、ドツボにはまるかもしれない。
やったことないから結果が見えなくて躊躇する。
でも、そのくらいのことを意識して実行してほしいんです。一歩踏み込んでほしいんです。
仕事へのモチベーション、動機づけは最終的には自分自身でするしかないのですが、意図的にそういった行動を取ることすらしたくないと思ったらそれはもう離れるしかないですけどね。
いつまで経っても不安
少し慣れてきて「わかった気になる」のは仕方がないんですよ。そういうものなので。
でもそこで「意図的にもう一歩踏み込んで」みてください。その対象は「組織」だったり「人間関係」だったり、「業務範囲」だったりまちまちなんですけど。
一歩踏み込んで領域を広げたり深めたりしはじめると、「なにもできない、なにもしらない」って不安だった「一番はじめの状態」を思い出すことになると思います。
単純にできないこと、しらないことが増えるということだけでなく、「今まで知った気になっていたけど実は別の観点から見るとわかってなかったな」っていうことも出てくる。
これを一度でも経験すると、「もしかしてあれ(今回と違う事象)も理解できていないかも?」って数珠つなぎ的に自信が崩壊するかもしれませんね。
でも、それで良いと思うんですよ。仮にこれまで理解していたことが間違っていたとしてもそこに気づいたことは大きな収穫ですし。
自信を失う可能性があること(自分の理解の範囲が狭い、深度が浅い可能性を理解すること)はとても重要です。結果的に「自分はまだまだ」っていう正しい現状認識につながるんです。
結果、ちゃんとした成長をしているけどちょっと不安な状態に落ち着くんでしょうね。いつまで経っても不安なんですけどそれ正常だと思います。
Memo
今回の記事の内容って大雑把に言うと「メタ認知」の問題なんだよなということに帰結します。ものすごく平たくいうと、自己評価を冷静に客観的にしましょうねっていうことです。(暴論)
浅い業歴で「何でもできるようになった」と思うのは勘違いだし、「つまらなくなる」のも自分のスタンスの問題だし、「極端な自信」は自惚れだと思うんですよね。
だから「飽きてきたらもうちょっと周りを見て関心を広げるか深めるかしてみてくだいさいね」という趣旨を記事にしたのですが、そもそも論として、業界、会社、仕事、お客さんetcへの興味が薄れてるんじゃないでしょうかね。浅い業歴で飽きちゃう人って。
もったいないと思うんですよ。飽きるってことは大きなミスもおかさないで仕事できてるっていうことなのでもっと仕事ができるようになれると思うんです。
ほんとにすごく大事なことは「興味」だと思っています。この記事も読んでほしいです。