• Web制作界隈 2026.10.21 2辛

    つくることが簡単になった時代に、何をつくるのか。

    つくることが簡単になった時代に、何をつくるのか。

    つくることが簡単になった時代

    AIによって、いろいろなものをつくることが簡単になってきましたねぇ。ここのところ加速度的に進化してきたように思います。

    Webサイトも、デザインも、文章も。
    以前なら専門的な知識や技術、そして相応の時間が必要だったものが、ずいぶん手軽につくれるようになってますね。

    あんどぷらすのようなWeb制作会社にとっても、とても大きな変化です。

    AIによってこれまで時間をかけていた作業を効率化できる一方、つくること自体の価値はこれから変わっていくのでしょうね。

    つくることが簡単になった時代に、我々は何をつくっていけばいいのでしょうか。

    減っていくコンテンツ、減らない一次情報。

    AIの普及によって、Web上のコンテンツが減っていくのではないか、という話を目にすることがあります。
    さっきもXで流れてきましたよ。
    「コンテンツが減るのは必然」
    「形の整った記事コンテンツである必要はない」
    etc etc

    検索流入を目的にした、すでにある情報の再構成記事を量産するようなSEO施策はなくなっていくんじゃないですかね。
    減るコンテンツはこういったものでしょうね。AIが得意な領域だし。
    (個人的には、そもそも真っ当な需要への提供価値とも思ってないのですけどね。)

    で、企業が持つ情報や、実際に経験した人だからこそ語れることまで、同じように減っていくんでしょうかね。
    いわゆる一次情報です。

    減らないですよね?

    1. 企業が自社の製品やサービスについて発信する正確な情報。
    2. 実際の仕事で得られた知見。
    3. 顧客との取り組みや、利用者の体験。

    こうした情報は、文章を生成する技術が進歩しても、勝手には生まれてこないんですよ。

    AIは、すでにある情報を整理したり、別の表現に置き換えたりすることが得意ですね。
    でも、実際に製品を開発したり、顧客と仕事をしたり、サービスを使って試行錯誤したり、そういった現実の活動と、そのなかで得られる経験や知見は、文章を生成するだけで生み出せるわけではないんですよ。

    もちろん、情報を持っているだけでもだめで、持ってるよーって言わないと誰にも伝わりません。

    実際に得られた情報(体験)を整理し、背景や条件を含めて正確に伝え、必要とする人が見つけられるようにする。
    情報を生み出すことと、それを価値あるものとして届けることは別のしごとなんですよね。

    そして、AIによって誰もが、それらしい文章をつくれるようになればなるほど、実際に何をして、何を知っていて、どんな経験をしてきたのかが重要になるはずです。

    価値の低いコンテンツを量産する必要がなくなり、本当に価値のある情報を発信することが求められる。
    そうした変化も起きそうですね。

    コンテンツの量が減ることを心配するよりも、何のために、どんな情報を発信するのかが問い直されることのほうが、重要に思えますよ。

    Webサイトをつくることと、Webサイトの価値。

    Webサイトも同じ。

    AIを活用すれば、ページをつくることも、デザインを考えることも、実装することも、これまでより効率的に進められるようになります。巷でも大騒ぎしてますよね。

    それ自体は、我々にとっても歓迎すべき変化なんですよ。

    でも、Webサイトをつくることが簡単になったからといって、Webサイトが果たす役割がなくなるわけではないのですよ。あたりまえです。

    1. 誰に、何を伝えるのか。
    2. どんな情報を持ち、どう整理するのか。
    3. 訪れた人にどんな体験を提供し、次の行動につなげるのか。
    4. そして、公開したあとも情報を更新し、事業の変化に合わせて改善していけるのか。

    こうしたことは、Webサイトを生成するだけでは解決しません。

    もちろん、すべての企業に大規模なWebサイトが必要なわけではないです。
    目的によっては、もっとシンプルな手段が適していることもあるでしょうし。

    大切なのは、Webサイトをつくること自体を目的にしないこと。
    「何を実現するために、何をつくるのか。」
    これまで以上に重要になると思っています。

    自社サイトをEmDashでリプレースした。

    最近(2026年10月)、あんどぷらすでは、自社のコーポレートサイトをWordPressからEmDashへとリプレースしました。
    (Cloudflare+WordPress から Cloudflare基盤+Emdash)

    きっかけは、単に新しいCMSを使ってみたかったからというわけではないんですよ?
    Wandでも書きましたけど。

    長く運用してきたサイトには、さまざまな機能や情報が蓄積されていっていたんですよね。
    ※ WordPress > Gatsby+WordPress > WordPress と変遷したことも相まっていわゆるゴミコードも散見されるようになってました。

    制作実績が増えるにつれて表示処理は複雑になり、セキュリティや今後の運用についても、改めて見直したいと考えていたところだったんですよねー。今年の春先からずっと気になってたんです。

    で、EmDashを実験的に試し、移行できるか、これまでと同じような運用ができるかを検証してきました。
    夏期休暇の間には目処が立ってたのだけど、まだベータだったのでこの後変わるものも多そうだなとキャッチアップしながらタイミングを図ってたという状況でした。
    もちろんその間さまざまなブラッシュアップを図ってました。

    そして、実際にリプレースし、現在は本番環境で問題なく稼働しています。

    確認したかったのは、サイトが表示できるかどうかだけではないのですよ。
    公開したあとも、日々の改修や更新を無理なく継続できることが必要です。

    そのため、自社サイトであっても、クライアントワークと同じ考え方で運用することにしました。

    ステージング環境を用意(WorkersもD1、R2もすべて2系統独立ですあたりまえだけど。)し、ソースコードはGithubで管理する。
    変更はブランチを切って作業し、プルリクエスト(PR)を通じて管理する。
    そして、デプロイはCLIで行う。

    自社のサイトだからといって、直接本番環境を触ったり、変更の経緯が分からなくなったりするような運用にはしないということです。
    検証中も直接本番操作はしてないんですよ。CLIの方がラクだから(笑)

    AIを活用してコードを書く(エージェンティック開発とかバイブコーディングとか)ようになれば、変更すること自体の速度は上がりますね。
    だからこそ、変更を管理し、検証し、意図したものを確実に反映できる仕組みが必要になるのだと考えています。

    コードを書くことが簡単になることと、システムを安全に運用できることは、同じではないんです。

    今回のリプレースは、新しい技術を採用したというだけでなく、その技術を実際の業務で継続して使っていけるかを、自分たちのサイトで確かめる取り組みでもありました。

    あたらしい技術を使うことが目的ではないんです。
    自分たちが実現したいことに合わせて構成を選び、実際に運用し、その結果に責任を持つ。

    それは、これからも変わらないあんどぷらすの仕事だと思っています。

    つくって終わり、にはしない。

    Webサイトは、公開したら終わりではありません。
    でも、最近は手離れのいい仕事が好まれる風潮があるみたい。
    制作会社は納品したらおしまい、発注者も制作物を受け取ったらおしまい。
    双方がそう考えていたら、公開後の運用や改善は誰が担うのでしょうねー

    公開後も情報は変わるのですよ。
    事業の方針も、顧客のニーズも、利用する技術も変わっていきます。
    セキュリティ上のリスクも、公開した時点でなくなるわけではありません。常に新しく生まれてくる。

    だからこそ、制作して納品することだけを仕事のおわりにしてしまうのはダメなんですよ。

    あんどぷらすでは、Webサイトやシステムの制作だけでなく、脆弱性診断やCloudflareの導入支援といったサービスにも取り組んでいます。

    脆弱性診断は、サイトの安全性を確認し、必要な対策を考えるためのもの。
    Cloudflareの導入支援は、サイトの構成や運用に応じて、セキュリティ対策などを整えるためのものです。

    どちらも、単にサービスを増やそうと思ったわけじゃないんですよ。

    Webサイトを運用していくうえで必要になることを考え、自分たちで知識や技術を身につけ、実際に使えるサービスとして提供する。
    そうした取り組みのひとつです。

    そして、制作後も継続的に関係を築いていくために、サポート契約を前提とした仕事のあり方を大切にしています。

    Webサイトは、公開したあとにも相談したいことが出てきますよね。
    小さな改修が必要になることもあれば、セキュリティ上の懸念が生じたり、事業の変化に合わせて構成を見直したくなったりすることもあります。

    そのたびに、事情を知らない相手にイチから説明し、制作会社を探すのでは、時間も手間もかかります。
    継続的に関わり、サイトの構成やこれまでの経緯を理解しているからこそ、状況に応じた判断や提案ができることもあります。

    もちろん、サポート契約があれば、あらゆる問題を防げるということではないのですけどね。
    (契約の範囲や条件を明確にする必要もあります。)

    それでも、何かが起きたときだけ対応するのではなく、何かが起きる前から相談できる関係をつくることには意味があると思っています。

    制作して納品したら、それでおしまいということではなく、公開後も顧客の事業に向き合い、必要なことを考え、対応し続ける。

    それが、あんどぷらすの考えるWeb制作なんですね。

    制作会社として。

    「AIによって、Web制作の仕事がなくなるのでは。」

    よく言われてます。

    仕事の内容が変わったり、これまで必要だった作業が減ったり、新しい仕事が増えたりすることは、当然あると思いますよ?
    制作会社にとって、決して楽観視できる状況ではありません。

    これまで技術や経験を必要としていた作業が、誰でも、ある程度の水準でできるようになっていく。
    制作にかかる時間が短くなれば、これまでの価格設定や仕事の進め方も見直さざるを得なくなるでしょう。

    AIを使って効率化すればいい、という話だけでもありません。
    効率化した先で、何を提供する会社として選ばれるのかが問われます。

    だからこそ、今は踏ん張りどころなんですよね。

    お客様の事業を理解し、何を伝えるべきかを考え、必要な情報や顧客体験を設計する。
    それをデザインや技術によって実現し、運用を通じて育てていく。

    そうした仕事のなかで、AIを活用できる部分は積極的に活用していけばいいんですよ。

    ただし、能力があること、その価値が伝わること、選ばれることは全部別物なんですよね。

    * 技術力があります。
    * デザインが得意です。
    * AIを活用しています。

    こんなことを並べてもこれからはますます違いが伝わりにくくなるでしょうね。

    自分たちが何を考え、何を大切にし、どんな課題にどう向き合ってきたのか。
    それを実際の仕事を通じて示し、伝えていく必要がありますね。

    あとがき

    AIでWebサイトがつくれるようになったから、制作会社は不要になる。
    とか、
    AIを使えば誰でも同じような仕事ができる。
    とか。

    そんなことをまことしやかに語る人は、そもそもWeb制作の仕事をどこまで理解しているんでしょうかね。
    その一方で、AIが普及しても自分たちの仕事は変わらないと考えている制作会社も、相当に危ういと思います。

    つくることが簡単になった以上、これまでと同じことを、これまでと同じやり方で続けていけるわけはないんです。
    変わらなければならない部分は、間違いなくあるのですよ。

    技術の変化を追いかけるだけでは足りない。
    かといって、
    変わらないことを大切にしているだけでも足りない。

    何を残し、何を変え、何を新しくつくるのか。

    これからの制作会社に求められるのは、その判断を続けていくことなのでしょうね。

    つくることが簡単になった時代に、何をつくるのか。
    あんどぷらすはそこを考えるところまで、AI任せにするつもりはないです。

    つくることは、ゴールじゃないんです。
    つくったものが顧客の事業にどう役立ち、どう使われ、どう育っていくのか。
    そこまで考え、必要なことに取り組み続ける。

    つくって終わり、にはしない。

    それが、あんどぷらすの仕事のあり方なんですよね。

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